数年前に死んだはずの伯父が私の前に現われ、こう言いました。
「おまえには、これからまだ、二人を育てたり、色々やることがある」と。
私にはまだ、二人の子どもを育てたり、他にも色々とやることがあるというわけです。
当時の私は将来の不安もありましたが、それ以上に今を生きる事に精一杯で、自分の使命やお役目なども考える余裕などありませんでした。
なので、いっそ死んでしまいたいと思うことも、しばしばあったのですが、伯父の言葉で私は救われた気がしました。
伯父の姿に代わり、今度は父親の姿が現われ、こう言いました。
「いつでも会える。いつでも会えるんだ」と前振りしながら、「今は無理だと思うけど、金に余裕ができたら一回、身体の検査を受けてきた方がいい。俺に似て無理する所あっから。大丈夫だ。大丈夫なんだけど、一応な」
つまり、自分の弱い所を知っていれば、未然に対策も練れるし、予防になると。
私は、子どもたちに伝えたいことが無いか、父親に聞きました。
すると父親は、
「おめえが教えてやれ」と言いました。
お母さんには?と私が聞くと、
「伝えた。あとで本人から聞け」と言います。
こっちで父親という人間のイベントを終えてはいましたが、生前の父親目線で私に話してくれました。
父親が患っていた、癌について聞いてみると、
「病気はもう、たくさんだ」
「苦しかった。ずっとだ」
と、本音を語ってくれました。
表面では平気そうに装ってはいましたが、本当は辛かったようです。
私の妹へのメッセージを聞くと、
「昔は心配してたけど、子どもができてからはビックリした。さすがお母さんの子だ」
と言い、妹へは、「孫たちを頼む」というメッセージをくれました。
当時私は、今の仕事をそのまま続けるか、それとも転職をした方が良いのかずっと悩んでいました。
私は今がチャンスと思い、正直に胸の内を明かしました。
すると、
「それはおめえの選択次第だべ。俺に聞くことじゃねーべ」
と、核心を突く返答に、私は思わず苦笑いをしてしまいました。
父親は昔から、私が幽霊を見たり、あの世のことを話したりするのを嫌っていました。そして、完全否定していました。
そのことについて私は、父親に聞いてみました。
すると即答でした。
「試してたんだ」と言うのです。
何かやり残しが無いか聞くと、「ねえ(無い)」の一言です。
私たち家族や母親など、今後、気を付けることがあるか、何かアドバイスがあるか訊ねると、
「そういうのは聞くな……」と言われました。
私はさらに突っ込んだ質問を父親にぶつけました。
成功するための秘訣を聞いたのです。
すると父親は、
「逆らわねえことだ。こう、気持ちが湧いてくっぺ。それに逆らうな。難しくねえ」
「そのまんまでいいんだ」
と教えてくれました。
当時の私は何のことか、あまり理解ができませんでしたが、今になって、やっとその意味が分かる気がします。
確かにその通りなんですが、気持ちに逆らってしまうのが、人間の哀しい性かもしれませんね。